武将の信仰と修験の寺 白岩山長谷寺 - 霊験巡礼

武将の信仰と修験の寺 白岩山長谷寺

 今回の目的地は白岩山長谷寺。坂東三十三ヶ所の第15番、白井観音である。
 基点は高崎駅。ここで新幹線からレンタカーに乗り換える。

高崎駅改札


 北関東の商都であり2本の新幹線が交わる街だけあって、巡礼旅に出かける風情とは程遠い駅前。だが、これは致し方ないだろう。

       高崎駅


 高崎の中心部から北上し、環状線を越えると、県道は北西に向かう。長野新幹線のガードを越える頃には、市街地から郊外の風景へと変化する。ようやく巡礼旅の雰囲気が出てくる。

 やがて、なだらかではあるものの、登りの坂道となってくる。ここはもう東京湾から始まった関東平野の終点地である。
 箕郷町に入り左折すると、地図上では長野新幹線と平行することになる。所々で高台から市街地を望む場所が現われる。

 坂東霊場の15番・長谷寺は右手に突然現われてくる。駐車場は道路の反対側にある。

       長谷寺5


 白岩山長谷寺は役の行者ゆかりの修験の霊場だ。この地には伝教大師最澄も弘法大師空海も訪れたといわれている。
 道路を渡って境内に入ると、真新しい不動明王像がお出迎えしてくれる。その先が観音堂だ。

            長谷寺1


 本尊の十一面観音は秘仏だが、前立の像は同型で、木造金箔の鎌倉時代に作られたものである。県指定重要文化財になっている。像高が百八十五センチだから、かなりの迫力と威厳に満ちている。

    境内


 境内は決して広いわけではなく、山腹を切り開いたような地に、荘厳な霊気を漂わせている場所というのが第一印象である。

 この地には、伝教大師、弘法大師だけでなく、行基も訪れたという伝説もある。まさにオールスター勢揃いのようだが、東国だけあって武将との縁も深い。

       長谷寺4


 源 義家、新田義貞という源氏の武将の信仰が厚かった。特に新田義貞が倒幕の挙兵をした際には、この寺の修験者が坂東八カ国に檄を飛ばしたという。

 後に上杉憲政により伽藍が整えられ、日本三大長谷のひとつに数えられるようになったが、永録6年(1563)に武田信玄の箕輪城攻めの際に焼失してしまう。現在の観音堂は、信玄の息子・勝頼が天正8年(1580)に再建したものだという。

       長谷寺2


 宗旨は金峯山修験本宗。この修験道とは、日本古来の山岳信仰をベースにした、独特な民族宗教であるといえるだろう。神道・仏教・道教などを混合したものである。

 その中心は実践性にあり、深山幽谷に分け入り、命がけの修行をする。霊力、験力の開発に勤しみ、究極的には菩提心まで得る。自らの身体で体験し、高めていくのである。

 本山が吉野の金峯山寺だが、なるほど、この長谷寺の雰囲気は確かに共通する部分がありそうだ。

       長谷寺3



 高崎の市街地からそれほど離れているわけではなく、深山幽谷とはほど遠いのは致し方ないだろう。
 逆に世俗の街のすぐ隣に、武将の信仰を集めた修験道場があるという事実こそ、価値あることだと言いたい。

 参拝を終えてから、参道脇の供養塔が並んだ場所へ行く。厳粛な気持ちのまま見上げる。神仏習合の白岩神社を目にする。
静寂の境内は、いつまでもひっそりとした佇まいを維持している。

 霊験あらたかな空気に包まれた境内から、すぐに下界へ戻る気にはなれない。そこで、白岩山長谷寺の近くに鳴沢湖という小さな湖があるので、ついでに寄ってみることにする。

 急な坂を降り、湖の畔に達すると、「え? これが!」と思えるような湖を目にする。神秘的な要素は全くない。むしろ明るく健康的で、都市部の公園にある池のような雰囲気だ。

 鳴沢湖は人造湖で、農業用水の水源に利用されている。かつては高崎市の補助用水としても利用されていたという。竣工は昭和25年、面積約18ヘクタール、水深は最大で17メートル。
 ここではボートや桟橋でワカサギ釣りが楽しめる。観光用のボートもある。

       鳴沢2


 湖畔の散策コースも整備されていて、水鳥たちと語らいながらのひと時は、凡人を詩人にしたり、哲学者にしたり、宗教家にしたりする。

 周囲は小高い丘のようになっていて、山深い場所とまではいかない。地図から榛名山のイメージと重ね、勝手に高い山を想像してしまうかもしれないが、ここは公園の延長。
 ここはここで何とも心地よい場所に思えてくる。もし弁当があったら、ここで食べるというのもいいだろう。

       鳴沢1


 観音巡礼の原点であり、いわば第0番札所に相当する根本道場は中国の青龍寺。現在青龍寺が監修した小冊子「空海」を無料プレゼント中。
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